乗り物酔い。アロエは家庭の救急薬として理想的な常備薬とはいえますが、残念ながら万能薬ではありません。


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 乗り物酔いがおこる原因は、耳の奥にある平衡感覚をつかさどる器官が、乗り物の揺れに過度に反応してしまうためで、比較的、自律神経が敏感な人がかかりやすいといえます。

 乗り物酔いの度合いは、人によってまちまちですが、体調の悪いとき、とりわけ胃腸の働きが悪いときに酔うことが多いようです。ですから、ふだんから胃腸の働きを整えておき、さらに睡眠不足、疲労などで体調を崩さないようにしておくことが大切です。

 また、ガソリンのにおいをかいだだけですぐ気分が悪くなるという人もいて、かなり精神的な要素も大きく、「自分は必ず酔う」という強迫観念にとりつかれている人が多いようです。深呼吸するなどして気持ちを落ち着かせ、「絶対に酔わない」という自信をもち、強迫観念をとり除くようにつとめなければいけません。

 アロエには胃腸の調子を整える作用があるので、これを服用することによって、乗り物酔いをおこす一つの条件が取り除かれたと同時に、鎮静作用によって、神経が落ち着き「酔うのではないか」という不安も鎮めてくれます。

 乗り物酔いしやすい体質を改善するには、ふだんからアロエを内用するにこしたことはありませんが、乗る前にアロエを数センチ分生食しておくだけでも、防ぐことはできます。
 また、乗ってからも、生葉を少しずつかんでいると、しゃんとしていられますし、酔ってしまった場合でも、生葉をかじると気分がよくなってきます。
 乗り物酔いは、すぐ効き目があらわれないと困りますから、できるだけ生がよいのですが、長期の旅行の場合は生葉を持っていけないので粉末や、粉末を蜂みつで練って丸薬状にしたものを携帯するとよいでしょう。

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【 ポイント 】
酔いやすい体質を改善するために、ふだんからアロエを内用する。
乗車前に、生葉を数センチかじる。乗ってから、また、酔ってしまったあとも生葉を少しずつかじっていること。
長期の旅行には、粉末や丸薬状のものが便利。


◆◇◆ アロエの雑学豆知識 ◆◇◆

 アロエはユリ科に属する多年草で、アフリカの地中海沿岸が原産と言われています。アロエとはヘブライ語で”苦い”という意味で、その歴史は古く、紀元前から薬草として知られていました。
 アロエが薬草として使われていたという最も古い記録は、古代エジプトのミイラのひざのあいだに置かれていたパピルスです。これによるとアロエは、センナなどとならんで下剤として用いられ、また眼病にも使われた薬効のある貴重な植物としるされています。
 さらにアレキサンダー大王は、大遠征の際に負傷兵の治療にアロエを用いて効果をあげ、それをきっかけにアロエの栽培をはじめたとも言われています。
 いずれにしてもアロエが古代より薬草として使われていたことはたしかで、やがて紀元前1世紀には、ローマのディオスコリディスが『ギリシャ本草』のなかで、アロエの薬効を書きしるしています。それによると性器の病気、痔、黄疸、胃の洗浄作用、打撲、おでき、さらに目の洗浄にもなる万能薬であるとしています。
 その後、アロエの薬効はヨーロッパにも広く認められ、十二世紀にはドイツ薬局方にも収載されるようになりました。
 さて、日本にいつアロエが伝えられたのかについては、鎌倉時代とか室町時代とかいわれ、定かではありませんが、江戸時代には貝原益軒が『大和本草』のなかで、「その味苦く臭くして、気味ともにはなはだしく苦きゆえに虫を殺す」しるしています。
 当時、蘆薈(ろかい)と呼ばれたアロエは、その名から中国から伝えられたものだと言われています。中国では『開宝本草』にしるされているところから、八世紀ごろには、民間薬として普及していたと考えられます。
 日本に伝えられたアロエは、九州や伊豆、四国などの山野に自生し、地方によっては、”医者いらず”として重宝がられていました。しかし、アロエが薬用植物として広く栽培されるようになったのは戦後でした。
 現在では、各地、ことに暖地で観賞用として、また民間薬として栽培され、薬効が穏やかで副作用が少ないことから、多くの人々に愛用されています。


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